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「倚らば大樹」-(21)

ニュージーランドの田舎の家

ニュージーランドの田舎を車で旅しました。広さは日本の70%程度に人口415万人ですから田舎へ行くと車は別として人影に出会いません。往復2車線の田舎道の制限速度が100キロと言うのも道路に接する人家がないこと、歩いている人がほとんどいないことで可能になっているように思われました。
 人家はおおむね大樹に寄り添って建っています。元からあった大樹の横に家を建てたのでは、、、とさえ思われます。真っ暗な夜、大樹で縁取られた雲のような無数の星空の下に、樹の下に「家」がうずくまって眠りにつきます。大雨の日や、強風の夜、この大樹下の家はおそろしい時を過ごさねばならないに違いありません。それでも「家は大樹の下」。美しい夢のような風景が広がっていました。
 この木は私が訪問した北島の最北部ノースランドのそこいらじゅうにはえておりましたが名前は聞かないまま、、。建物は150年前ぐらいのスタイルを踏襲していると思います。家の中心部に暖炉があって、煙突が突き出ている。サンタクロース物語が語られた古きよき時代。人間が大きすぎる欲望に苦悩しなかった時代の風景と言うことにはならないでしょうか。

2010/05/17