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「椅らば大樹」-(4)

京都「高瀬川」源流の栴檀の樹

森鴎外の「高瀬舟」を少年時代に読んで以来、気になっていたことが一つありました。私は京都で生まれ、大学時代もその後も長い間、京都で過ごしたのですが高瀬川の源流の記憶がありません。さらに「高瀬舟」では高瀬川を下る主人公が鴨川を「東に渡る」と言う文が出てくるのです。源流はどこか?川が川を「渡る」とは何か?過日、河川に詳しい方々に現地をご案内いただきました。
高瀬川の源流は並行している鴨川でした。然し何処から?と言うと、丸太町の一つ上流の橋「荒神橋」の一寸上流の堤防側面にひっそりと取水口があるのでした。なかなか見た目わかりません。しばらく堤防の地中を埋設管で南下し、丸太町が近づいたあたりで突然、堤防上の水路「みそそぎ川」として出現いたします。その出現場所のいわばシンボルとでも言うのでしょうか、立派な「栴檀の樹」が水の湧き出るトンネルの上に蔭を作っていました。あまり知られていない水と緑の織り成す美観だと思いました。
もうひとつ。高瀬川はホントに鴨川を東に渡っていたそうです。ヒントは昔の鴨川の河床が今日よりはるかに高く、高瀬川と鴨川はほぼ同じ高さであったということ、、、。おわかりでしょうか?

2008/12/09